O月X日 晴れ。 最近の姿が見えない。 いつもならやかましいぐらいだかこうも静かだと不安になる。 まさか風邪でもひいて寝こんでいるのだろうかっと思い家を訪ねてみた。 見ると机の上に矢文がなぜかきちんと置いてあった。 ご丁寧に隣りに弓まで置いてある。 しばらく眺めていると端のほうに「兄上様へ」と仰々しく書かれている。 間違い無くの字だったが…兄上?一度もそう呼ばれたことは無かった。 嫌な予感がしたが読まずにはいられなかった。 「辰伶兄様へ この手紙を読むころは私はもうそこにはいないでしょう。 最近暇なので旅に出ます。気が向いたら帰ってきます。 ついでなのでほたるの様子も見てきます。 そうそう辰伶、ここのところ具合が悪そうだし、体に気をつけてね。 追伸 この弓はプレゼント。矢もその辺にあるから自由に使って良いよ。」 やっぱり…。嫌な予感がしたんだ…。 ついでにとか書いてあるがそれが本当の目的だろっ…!! まったく、人の気も知らないで…… それに、究極の方向音痴のおまえに見つけられるのか? 迷子になっても探してやらんぞ。 あと誰の所為で具合が悪いと思ってるんだ…。 が要らない物を壊したり、 変なところで遭難したりして迷惑をかけているのが分からないのか。 誰が謝りに行っていると……はぁ… オレには一言も無しで出ていったな…? 変な手紙だけ置いていって、なんだか複雑だ。 今日も歳世のところへ行って胃薬をもらってきた。 はぁ…遠くの地で、おまえは何をやらかしているんだ。 頼むから、派手なことはしないでくれ…。 |