「もう、時人と関わると本当にろくな事が無い……。」 全開した家の中から散々探し回り自分の剣を掘り起こしながら毒づく。 あのあとすぐに家が崩れてしまったけど、 時人が下敷きになるようなへまをするとは考えられない。 今もあの暗い蝋燭の城で平和な日々をおくっているのだろう。 そう思うとまたの中に怒りの炎がちらりと燃える。 「うぅ〜最悪ー…。」 そういえば時人が最後にプレゼントがどうのっと言っていた事を思い出す。 一体何を贈ったと言うのだろう。 プレゼントという不気味な響きに恐怖を抱くが深くは考えない事にした。 溜め息をつきつつ何とか剣の柄の部分を発掘しそれを瓦礫の中から引っ張り出す。 さすがと言うか何というか。こんなに家は粉々になっても剣には傷一つ無い。 黒漆の鞘もそれにあしらわれた金細も輝きを失ってはいない。 「はぁ〜よかったぁ。」 久しぶりの再会に今度は安堵の溜め息が漏れる。 時人もこの剣を煮たり焼いたりはしていないようだ。 いつもと変わらない柄の感触に満足しながらいつもの定位置へと剣を収める。 そして今度は鞘から抜いて技の練習でもしようとしたとき、 「…あれ?…えっ何これ!?」 剣を引きぬこうとしたはそれを強い力でもって押さえつけられる。 おかしいと思いつつ何度もやってみるが剣が抜けない。 よく見ると剣のツバと鞘のちょうど間の隙間に何かがくっ付いている。 そう、それはボンドが乾いて透明になったようなもの。 ――僕からのプレゼントも受け取ってね。 「…っ!バカ時人!!」 半泣きになりながら叫ぶを遠くから眺める目撃者が一人。 「…何か…荒れてるなぁ……。」 さっきいた屋根の上で今度は雲の形を眺めていたほたるが乱心している素朴な感想を漏らす。 |